ストレスチェックなんて意味ない!?その実際のところとは

ストレスチェックなんて意味ない!?その実際のところとは

 みなさんは、ストレスチェックというシステムについてご存知でしょうか。ストレスチェックとは、従業員が50人以上いる企業に対して、2015年12月から、年に1度は受けることを義務付けられているものです。これは、ストレスによるメンタル不調を未然に防いだり、早期発見することによって、労働者が休職するなどによって社会資源が減ったりすることを防ぐために行われているものです。*1
*1https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150709-1.pdf

ストレスチェック自体はかんたんにWeb上で行える

 ストレスチェックのやり方自体は企業に任されています。しかし、企業も人員の問題もあり、ストレスチェックの用紙を配ってそれを専門家に解析してもらう、などという方法をとっていることはないでしょう。ストレスチェックを専門的に行なっている業者がいくつかあり、そこに全て任せることで、フィードバックまで行なってくれるので、そういった業者にストレスチェックを丸投げしている企業がほとんどです。
そして、そう言った業者が使っているシステムはWeb上で個人を登録して、質問に答えていく、といった方式になっていることが多く、いくつかの質問に答えていくだけですので、とても手軽に行えます。

Web上で行うことはそもそもかんたんなのか

 しかし、そもそもWeb上で行うことはかんたんなのでしょうか。業務でパソコンを使用しない企業になると、「自宅に帰ってから」「自分のパソコンを開いて」「わざわざストレスチェックをする」ことになります。この3段階、意外と面倒に感じる方が多いのではないでしょうか。
 しかし、そこは企業の努力次第。1台のパソコンがあれば、従業員を呼び出して手取り足取り教えながら、ストレスチェックを受検させられるでしょう。でも、そこまでの努力をしている企業はあるのでしょうか?少なくとも筆者は聞いたことがありません。
 では「自宅に帰ってから」「自分のパソコンで」「ストレスチェックをする」としましょう。これは若い人たちにとってはかんたんかもしれませんが、普段仕事でパソコンを使わない中高年の世代の人たちには、全くやり方がわからないかもしれません。これを1人でやらなければならないとなったとき、普通は放り投げて受検をあきらめるでしょう。やはり、業者に任せるとしても、紙での受検も選択肢としては残さないといけないですね。

受検率がどうしても上がっていかない

 では、ストレスチェックはどのくらい受検しているのでしょう。答えは、80%弱で横ばいになっています。*2 受検率の高止まりはどうして起きてしまうのでしょうか?これは、先ほど書いたような、「帰宅してわざわざ受ける」「パソコンがよくわからない」といった人が、結局は受検しないまま過ぎてしまっているのでしょう。8割からさらに上を目指すのであれば、パソコンが苦手な人への紙での受検の導入や、自宅での受検に任せるのではなく、積極的に企業が関わって従業員に受検させないといけないのです。
それには、企業側が、「1人の人間がうつ病になって休職することで起きる社会損失」をしっかりと理解しておく必要があります。「休職させればいいでしょ」といった意識では、ストレスチェックに対して熱も入りませんし、全員の受検を目指すといった努力も全く行うことはないでしょう。
*2https://heisei-ikai.or.jp/column/stresscheck-test/

どの項目を選べばストレスが高くなるかが見るだけでわかる

 これは、抑うつ状態になったことのある人に限ったことだとは思うのですが、「どの項目を選べば、ストレスが高く出るか、もしくは低く出るか」が分かってしまう人がいます。こういった人はストレスチェックの結果をコントロールしてしまうので、ストレスチェックを行ったとしても意味がありません。うつ病の治療中なのに「ストレスなし」と判断されてしまうこともあります。ただ、うつ病の診断基準などはインターネットにもあちこちに書いてあり、結果をコントロールしようとすればしてしまえるのかもしれません。
 しかし、いくらコントロールできると分かっていても、コントロールしてしまっては今のストレスは測れないのだ、と自分で思えるかどうかが鍵です。このストレスチェックに悪意を持って臨まれてしまうことについては、現状は対策がとりようがないのが現実です。

ストレスチェックで本当に早期発見できるのか

 ストレスチェックで本当に早期発見できるのか、ということが最後の問題になります。これで早期発見にならないのであれば、それこそ意味がないからです。
 これについては、間違い無く「早期発見できる」と断言できます。ストレスチェックの項目が高かった場合は、産業医などの企業でメンタルヘルスを扱う専門家などとの面接が組まれます。そこではしっかりと問診や職場のストレスがあるかどうか、プライベートでのストレスなどについて聞かれ、現在とれる対策をしっかりと指導してもらえます。
労働安全衛生法を改定してまで導入されたストレスチェックですので、しっかりとストレスチェックの流れに乗れば、早期発見と早期治療に持ち込めます。悪意のある答え方などせず、ありのままの回答をしっかりしていきましょう。その結果ストレスがあるということがわかった時は、しっかり流れに乗って面接を受け、改善策をとりましょう。それが、厚生労働省が一番望んでいることです。高齢化社会において社会資源を減らさないということはとても大事なことです。

まとめ

 今回は、ストレスチェックに意味があるのか、ということについて解説しました。現行の制度では確かに受検率は100%にはならないものの、社会資源を減らさないためにも、ストレスチェックを受検し、ストレスがある場合は指導に従っていくことで、休職などせずに早めに対応することが可能です。改善した方がいい部分が残るとしても、このストレスチェックは上手に使って生きていってほしいですね。休職するということは、社会資源を減らさないという面だけでなく、あなたの生活を安定させるという意味でも非常に大事なことです。
これにこう答えたらストレス高いって言われるよなー、と思ったとしても、あるがままに答えて、システムに乗っかっていくことが自分の人生を豊かにすることにつながることになるでしょう。

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